国が推進する「観光立国」政策は、観光サービス産業に従事する企業にとって大きなビジネスチャンスとして歓迎されていますが、中でも旅行業、とりわけインバウンド事業は、ひときわ注目を集めています。私が所属する国際旅行事業部は、まさにインバウンド事業の実働部隊。外国人の訪日旅行者を対象に旅行サービスを提供しています。
インバウンド事業は、二部門に区分されます。一つは、世界各国のエージェントから依頼を受け、来日される個人客の宿泊や送迎、添乗などを行うエージェント・セールス部門。もう一つは、日本の政府や各種団体、企業がホストとなって、世界各国から招いたお客様をお世話する部門です。現在、私は後者の官公庁、コーポレートセールスを担当しています。お客様は、国の国際交流事業や国際会議などをはじめ、団体や企業が開催する会議やセミナー、イベントなどで訪日される外国人になります。私たちは、訪日目的や人数、滞在日程などに応じて、宿泊先や食事、送迎手段、観光地などをご提案し、旅行がスムースに運ぶように、万全の態勢で取り組んでいます。
国は「21世紀東アジア青少年大交流計画」に基づき、2007年より積極的に交流事業を実施しています。これは海外の高校生に日本の政治制度や経済システム、社会・歴史・文化などを体感してもらうと共に、日本の青少年・国民との交流を深める目的でスタートしました。毎年約6000人を招待するという大規模な事業で、毎月、数百人単位で諸外国の高校生が訪日されています。
私たちは、この事業のために部門総出で対応。ホテルやバスのアレンジはもちろんのこと、視察プログラムや訪問都市、観光地の選定、手配、場合によっては討論会、セミナーなどの運営にも携わっています。同じアジアの人々と言っても生活習慣や文化、宗教が異なるため、細かなリクエストに苦慮することも少なくありませんが、訪日される学生さんたちに、日本の素晴らしさをたくさん知っていただけるように、きめ細やかな対応を心がけています。特に国によっては、ベジタリアンの方も多いので、食事のアレンジには細心の注意を払います。訪日を契機に、日本が好きになり、また日本を訪れてくれたらうれしいですね。
インバウンド業務は、同業他社との競争も熾烈で想像以上にハードですが、世界各国の人々と出会える喜び、そして知的好奇心が満たされる充実感に溢れています。また、あらためて日本を再認識させられることも多い仕事です。また、「観光立国」として国家で取り組んでいる事業でもあるので、成長が期待されている分野でもあります。元気でやる気のある人、「日本の魅力を伝えていきたい」という気持ちの強い人に来てほしいですね。