西安は昔の長安で、唐の時代には世界的な国際都市として栄えていました。当時の長安城は碁盤の目のような作り方で、坊が108あり、東と西にそれぞれ市場がありました。東市は皇族や官僚などの専用市場であったのに対し、西市は国際的な貿易センターでした。西域や日本、朝鮮など大勢の商人が集まっており、当時の西市は100万㎡ぐらいで、約260種の店舗業種がある、世界一の市場でした。
大唐西市博物館は、大唐西市遺跡、また遺跡から出土された文物を展示し、1300年前の大唐西市の繁栄を再現しています。1階が遺跡ホールで、遺跡面積は2500㎡、西市北東角十字街遺跡、轍遺跡、石板橋遺跡と店舗土台遺跡、各時代の排水遺跡があります。2階は「シルクロード起点 盛世商魂」をテーマとする基本陳列です。ここには、西市と関係ある文物が展示され、また、胡人(西域の少数民族)俑や貨幣、生活用品、商売用品など、唐代の生活状況や商業状況がわかり易く描かれています。
唐王朝の隆盛時、長安は世界最大の都市となり、人口は100万超。中国の政治と経済、文化の中心として外国人(当時は「胡人」と呼ばれた)の人気を集めました。シルクロードはユーラシア大陸を貫く陸路貿易の重要なルートで、外国商人の大多数は宝飾品やシルク、お茶、香料、生薬などを本国から長安へと運んでは西市で取り引きし、商業市場の繁栄を促しました。
中国国家文物局は2006年、古代西市を隋王朝(581~618年)と唐王朝時代のシルクロード沿線貿易を代表する遺跡に指定。また最近、遺跡はシルクロードの代表的な場所として登録されました。中国とカザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンの中央アジア5カ国は、こうした文化遺跡を世界遺産に登録することを共同でユネスコに申請しています。