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- [No.H288] 大阪市営地下鉄は、民営化して Osaka Metro に
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
岡山DCで、ユニーク列車たちが出発進行! [No.H186]
晴れの国おかやま
デスティネーションキャンペーン
が去る4月1日から6月30日まで開催されています。
国鉄時代から続くデスティネーションキャンペーン(DC)ですが、開催地区によって様々な趣向が凝らされます。その多くは観光関係ですが、今回の岡山DCでは、鉄道を使った観光も目玉となっていて、ユニークな列車がいくつも登場しています。
それらについて、今回から2回連続で紹介します。
そのユニーク列車の代表格が、右写真の観光列車「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」でしょう。
なんとも覚えにくく読みにくい名前ですが、略して「ラ・マル」と呼ぶそうです。フランス語で木製の旅行鞄という意味だそうで、白い車体には旅行鞄をはじめ、鞄につけるタグや、移動に使う自転車、船の錨など、旅をテーマにしたデザインが施されています。
6月30日までのDC期間中、土休日を中心に快速「ラ・マル せとうち」として、岡山~宇野間を1日1往復、所要下り59分、上り60分で結んでいます。
213系近郊形電車の改造車ですが、車内を全面的に改造してグリーン車扱いの全車指定席となっています。グリーン車とはいえ、岡山~宇野間は32. 8kmと短く、かつ快速列車ですので、料金は770円です。乗車券580円を加えても、1,350円で乗ることができます。
この列車に合わせて、岡山駅ホームには八点鐘(はってんしょう)と記した鐘が登場しています。午前0時から4時間ごとに連打を4回繰り返す鐘の打ち方を八点鐘と呼ぶそうです。
また、宇野駅の外壁がラ・マルと同様なデザインになったほか、客扱いしないものの途中で停車して記念撮影ができる八浜(はちはま)駅1番線ホームにも、白黒の格子状のデザインが施されています。その隣の常山(つねやま)駅のホーム反対側には、田んぼアートも登場しています。
デザインにこだわった展開をしている宇野線です。
倉敷市にあるカモ井加工紙が製造するヒット商品が、マスキングテープ「mt」です。若い女性を中心に、世界中で人気なのだそうです。
そのマスキングテープのデザインを、大胆に電車にラッピングしてしまったのが、この「mt×SUN LINER」です。
岡山~福山・三原間を結ぶ山陽本線の快速列車「SUN LINER」に主に充当されますが、運用は日によって変わります。岡山DC公式サイト内で、DC期間中の運用が公表されています。
「mt×SUN LINER」は外観のラッピングだけでなく、車内にも同様なデザインが使われています。
またDC期間中、倉敷駅の改札内にはmt売店が開設されているほか、同駅近くにある著名な大原美術館では、外観をmt装飾し、本館内ではmtアートの展示もされています。
さらに、mtレンタサイクル、mt人力車まであって、倉敷は美観地区を中心にmtデザインで溢れています。
岡山と総社を結ぶ吉備線は、備前一宮駅、吉備津駅など、沿線に信仰に関係する施設が多くあります。
なかでも吉備津駅が最寄りの吉備津神社は、吉備津彦の温羅(うら)退治の伝説が残り、これが桃太郎の物語の原型と言われています。桃太郎が腰につけた“きびだんご”は「吉備団子」とも書きますから、やはり物語と親和性がありますよね。
吉備線を走る桃太郎ラッピング列車には、そんな「温羅退治の伝説」と「桃太郎の物語」を描いてあります。
右の写真の手前・ピンク色の車両は「温羅退治の伝説」が描かれていますが、同車の反対の側面は青色で、写真に写る後方の車両と同じ「桃太郎の物語」が描かれています。つまり、2両連結のときには、片面を見れば2つのデザインを一気に見られるようにしてあるのです。
このデザインは、漫画家の出口竜正氏による書き下ろしだそうです。
岡山から四国へ向かうときに、本州最後となるのが児島駅です。
この児島は、国産ジーンズ発祥之地です。
児島駅の西北には児島ジーンズストリートという、ジーンズショップが30軒以上続く通りがあり、児島駅の北東にはジーンズの縫製工場やジーンズショップなどが集積しています。
これらを巡る「ジーンズバス」がDC期間中の金曜・土休日に運転されています。そのバスもジーンズのラッピングをしてあるだけでなく、車内はジーンズの生地であるデニムを使った展示物がそこかしこに… 乗ると車内をキョロキョロしてしまいます。
そんなジーンズの町の玄関口である児島駅にも、ジーンズ装飾が施されました。改札を入った頭上には「KOJIMA BLUE」の看板があり、その右手には巨大なブルージーンズが吊ってあります。
さらに、ホームへの階段にはブルージーンズが描かれ、階段手すりの上部もデニム生地風に…
ホームのエレベーターや飲料水の自動販売機の外側も、デニム生地風にラッピングされています。
改札内だけでなく、改札外もデニム生地風のラッピングがそこかしこにされています。
さらに駅を出ると、その頭上には大量のブルージーンズがつり下げられているなど、これでもかとジーンズ攻撃(?)を楽しめます。
いかがですか「晴れの国おかやま デスティネーションキャンペーン」は?
期間中に訪れると、いろいろと楽しいですよ。
掲載日:2016年04月28日
デスティネーションキャンペーン
が去る4月1日から6月30日まで開催されています。
国鉄時代から続くデスティネーションキャンペーン(DC)ですが、開催地区によって様々な趣向が凝らされます。その多くは観光関係ですが、今回の岡山DCでは、鉄道を使った観光も目玉となっていて、ユニークな列車がいくつも登場しています。
それらについて、今回から2回連続で紹介します。
そのユニーク列車の代表格が、右写真の観光列車「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」でしょう。
なんとも覚えにくく読みにくい名前ですが、略して「ラ・マル」と呼ぶそうです。フランス語で木製の旅行鞄という意味だそうで、白い車体には旅行鞄をはじめ、鞄につけるタグや、移動に使う自転車、船の錨など、旅をテーマにしたデザインが施されています。
6月30日までのDC期間中、土休日を中心に快速「ラ・マル せとうち」として、岡山~宇野間を1日1往復、所要下り59分、上り60分で結んでいます。
213系近郊形電車の改造車ですが、車内を全面的に改造してグリーン車扱いの全車指定席となっています。グリーン車とはいえ、岡山~宇野間は32. 8kmと短く、かつ快速列車ですので、料金は770円です。乗車券580円を加えても、1,350円で乗ることができます。
この列車に合わせて、岡山駅ホームには八点鐘(はってんしょう)と記した鐘が登場しています。午前0時から4時間ごとに連打を4回繰り返す鐘の打ち方を八点鐘と呼ぶそうです。
また、宇野駅の外壁がラ・マルと同様なデザインになったほか、客扱いしないものの途中で停車して記念撮影ができる八浜(はちはま)駅1番線ホームにも、白黒の格子状のデザインが施されています。その隣の常山(つねやま)駅のホーム反対側には、田んぼアートも登場しています。
デザインにこだわった展開をしている宇野線です。
倉敷市にあるカモ井加工紙が製造するヒット商品が、マスキングテープ「mt」です。若い女性を中心に、世界中で人気なのだそうです。
そのマスキングテープのデザインを、大胆に電車にラッピングしてしまったのが、この「mt×SUN LINER」です。
岡山~福山・三原間を結ぶ山陽本線の快速列車「SUN LINER」に主に充当されますが、運用は日によって変わります。岡山DC公式サイト内で、DC期間中の運用が公表されています。
「mt×SUN LINER」は外観のラッピングだけでなく、車内にも同様なデザインが使われています。
またDC期間中、倉敷駅の改札内にはmt売店が開設されているほか、同駅近くにある著名な大原美術館では、外観をmt装飾し、本館内ではmtアートの展示もされています。
さらに、mtレンタサイクル、mt人力車まであって、倉敷は美観地区を中心にmtデザインで溢れています。
岡山と総社を結ぶ吉備線は、備前一宮駅、吉備津駅など、沿線に信仰に関係する施設が多くあります。
なかでも吉備津駅が最寄りの吉備津神社は、吉備津彦の温羅(うら)退治の伝説が残り、これが桃太郎の物語の原型と言われています。桃太郎が腰につけた“きびだんご”は「吉備団子」とも書きますから、やはり物語と親和性がありますよね。
吉備線を走る桃太郎ラッピング列車には、そんな「温羅退治の伝説」と「桃太郎の物語」を描いてあります。
右の写真の手前・ピンク色の車両は「温羅退治の伝説」が描かれていますが、同車の反対の側面は青色で、写真に写る後方の車両と同じ「桃太郎の物語」が描かれています。つまり、2両連結のときには、片面を見れば2つのデザインを一気に見られるようにしてあるのです。
このデザインは、漫画家の出口竜正氏による書き下ろしだそうです。
岡山から四国へ向かうときに、本州最後となるのが児島駅です。
この児島は、国産ジーンズ発祥之地です。
児島駅の西北には児島ジーンズストリートという、ジーンズショップが30軒以上続く通りがあり、児島駅の北東にはジーンズの縫製工場やジーンズショップなどが集積しています。
これらを巡る「ジーンズバス」がDC期間中の金曜・土休日に運転されています。そのバスもジーンズのラッピングをしてあるだけでなく、車内はジーンズの生地であるデニムを使った展示物がそこかしこに… 乗ると車内をキョロキョロしてしまいます。
そんなジーンズの町の玄関口である児島駅にも、ジーンズ装飾が施されました。改札を入った頭上には「KOJIMA BLUE」の看板があり、その右手には巨大なブルージーンズが吊ってあります。
さらに、ホームへの階段にはブルージーンズが描かれ、階段手すりの上部もデニム生地風に…
ホームのエレベーターや飲料水の自動販売機の外側も、デニム生地風にラッピングされています。
改札内だけでなく、改札外もデニム生地風のラッピングがそこかしこにされています。
さらに駅を出ると、その頭上には大量のブルージーンズがつり下げられているなど、これでもかとジーンズ攻撃(?)を楽しめます。
いかがですか「晴れの国おかやま デスティネーションキャンペーン」は?
期間中に訪れると、いろいろと楽しいですよ。
掲載日:2016年04月28日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。