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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

鉄道・道路併用橋と温泉の旅を楽しむ [No.H110]

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いまや全国でもここだけになった、鉄道と道路の併用橋「村山橋」(注)新交通システム「ゆりかもめ」には併用橋があります。
鉄道と道路が同じ橋を渡る光景は、珍しいとはいえ、昭和時代には全国にいくつも見られました。当コラムでも、2013年3月29日に「列車と一緒に鉄橋を散歩!? 赤川仮橋」と題した大阪の併用橋を紹介しました。それ以前には、名古屋鉄道犬山線の木曽川を渡る犬山橋がよく知られていましたので、ご記憶の方も多いことでしょう。しかし、いずれもいまや鉄道専用橋となり、併用橋として現存しているのは、長野電鉄の村山橋が唯一の存在となりました。
一方、長野電鉄の村山橋は、1926(大正15)年にできた橋が老朽化し、道路幅も狭かったため、2008(平成20)年に架け替えられたのですが、翌2009年に鉄道も旧橋から移転して新製の併用橋となりました。ですから、これからも永らく安泰と思われます。ちなみに、道路は国道406号線で、下を流れるのは千曲川です。
柳原~村山のちょうど中間付近に架かる村山橋ですが、村山駅から歩くのが判りやすく、約1km、徒歩15分ほどの距離です。村山橋の村山駅寄りのところには、旧村山橋の部材の一部を保存展示する「村山橋メモリアルパーク」ができています。この付近からは、長野電鉄をすっきりと撮れるため、鉄道撮影地にもなっています。



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湯田中温泉の裏手には、足湯と日帰り温泉「楓の湯」があり、駅を降りて気軽に温泉を楽しむことができる。
長野電鉄は今、長野~湯田中の路線だけとなりました。その終点となる湯田中駅を降りて、駅の裏手に回ると、山ノ内町がつくった日帰り温泉「楓の湯」があります。入浴料は大人300円、小学生150円と気軽に利用できる価格です。泉質はナトリウム―塩化物・硫酸塩泉という暖まる成分で、これからの季節に適した温泉といえましょう。泉温が91.7℃と高いため、加水して温度を下げていますが、かなり勢いよく掛け流していて、その点でも気持ちがよい温泉です。毎日10:00~21:00の営業なので利用し易いですが、毎月第1火曜日が休館日となっています。「楓の湯」に寄る時間がないときには、すぐ向かい側に無料の足湯がありますので、そちらを楽しむのも手でしょう。
ところで、先ほど「駅の裏手」と記しましたが、「楓の湯」に隣接して湯田中温泉の旧駅舎が建っています。「楓の館」と名づけられた登録有形文化財です。もとからこの位置にある建物ですので、もともとはこちらが駅前で、いまの駅舎が駅裏でした。橋上駅舎化されることで、駅前がどちらか判らなくなるケースはよく見かけますが、地上駅で駅前と駅裏が逆転するのは珍しいケースといってよいでしょう。



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広々とした室内が、もと空港特急であることを納得させてくれる、長野電鉄の特急「スノーモンキー」
楓の湯からあがったら、のんびりと長野に戻るには特急を利用したいところです。特に長野電鉄の特急は、旧小田急ロマンスカー「ゆけむり」と旧成田エクスプレス「スノーモンキー」という私鉄とJR東日本の豪華特急車を使用しているものの、特急料金は区間に関係なく大人100円、小児50円ですので、ぜひ乗りたいところです。
「スノーモンキー」の個室を除いて全車自由席ですので、「ゆけむり」で前面展望を楽しむのもよいですし、「スノーモンキー」で広々とした座席にゆったりと座って景色を楽しむのもお勧めです。
長野~湯田中の乗車券は大人片道1,160円ですが、2日間有効のフリー乗車券が2,320円です。また、「楓の湯」だけを目的とするなら、「楓の湯」クーポンという往復乗車券に「楓の湯」の入浴券がセットになったきっぷが、長野~柳原間発で1,860円、村山~都住間発で1,380円で特急にも乗車できますので、だんぜんお得ですよ。

楓の湯ホームページ

長野電鉄ホームページ




掲載日:2014年10月17日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。