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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

あの京都・梅小路が2年後には国内最大の鉄道公園に… [No.H094]

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緑に囲まれた新線を走る、旧京都市電のN電27号。「チンチン電車」の愛称で、3月から土休日等に運転を再開した。
梅小路と聞くと、梅小路蒸気機関車館を思い浮かべる方が多いでしょう。京都駅の西方にある日本最大の蒸気機関車展示施設で、現在、17形式19両が保存展示されています。その外周に沿って旧京都市電が走っていましたが、昨年9月29日をもって運転を終えました。代わって、隣接する梅小路公園に線路が敷かれ、今年3月8日からはこの新線で運転するようになったのです。「チンチン電車」の愛称で、土休日と夏休み中などに運転しています。
これは、昨年まで走っていた線路を含む梅小路蒸気機関車館の隣接地に、2年後となる2016年に京都鉄道博物館を開設することが決まっため、その用地を明け渡したのです。
大阪環状線の弁天町駅前に交通科学博物館がありましたが、同館は今年4月6日に閉館となりました。同館が京都鉄道博物館に移転する形ですが、JR西日本が保存してきた車両も加わるうえ、梅小路蒸気機関車館も一体となるため、かなりのレベルアップになるものと期待されます。
JR系の鉄道車両等展示施設としては、大宮の鉄道博物館、名古屋のリニア・鉄道館、門司の九州鉄道記念館にならぶ、鉄道好きには必見の施設になることでしょう。



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N電27号は、走行中に集電ポールをたたんで走る!? あれ?架線がない!
さて、新線で再度走りはじめたN電27号ですが、走り去った後ろ姿をみると、なぜか車掌さんの頭上にある集電ポールがたたまれた状態です。さらに、本来あるはずの電気を送る架線もありません! 「N電」「京都市電」というように、"電車"ですから、電気がなければ走らないはずなのです…
これには、カラクリがありました。今回の新線での運転にあたり、事業主体である京都市がプロポーザル方式での競争入札をしたところ、蓄電池で走る方式を提案した企業が受注したのです。蓄電池はGSユアサからの寄贈だそうで、乗降する「すざくゆめ広場」で充電しては走る形となっています。ですから、架線がいらず、集電ポールもたたんだままとなっているわけです。それでも、約240mの線路の端まで行くと、律儀に集電ポールを進行方向の反対側に回す作業をしています。本来の集電方式ではないものの、この点は評価できるところでしょう。




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N電の終点側には「市電ひろば」があり、4両の旧京都市電が保存展示されている。うち2両は売店となっている。
N電27号の終点には「市電ひろば」ができました。ここには、右の写真のとおり旧京都市電4両が集結して展示されています。市電廃止後に、京都市が長年非公開で保存してきた車両達です。そのうち前面にでている2両は、「市電カフェ」と「市電ショップ」という売店です。広い梅小路公園で一息つく場として人気があるようです。
ところで、ここに行ったら、これら保存車の線路と、すぐ隣にあるN電の線路の幅を比較してみて下さい。市電ひろばのレール間隔がN電よりも広いことがわかると思います。末期の京都市電は1435mmの標準軌でしたが、京都市電の前身は国鉄(現JR)在来線と同じ1067mmの狭軌でした。狭軌は英語でNarrow Gauge(ナローゲージ)と呼ぶことから、その頭文字「N」をとって「N電」と呼ばれていたのでした。
梅小路公園には、この他に、総合案内所として2箇所に各1両の京都市電が置かれました。また、N電の車庫内には明治後期に製造された広軌1型市電の復元車も展示されています。
これらに加えて京都鉄道博物館が開館すると、梅小路は国内最大の鉄道公園となりそうです。

なお、梅小路公園へは京都駅・山陰本線丹波口駅からそれぞれ徒歩約15分。京都市バスの京都水族館前バス停なら下車してすぐです。土休日や夏休みには、京都駅前から京都市バスの「水族館シャトル」が運転されていて、より便利です。




掲載日:2014年06月27日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。