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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
"ドラえもんトラム"と"動物電車"が走る万葉線 [No.H043]
富山県の高岡市を走る路面電車"万葉線"には、右の写真にある真っ青な電車が走っています。よお~く見ると、正面にドラえもんの顔の上半分が描かれていて、客室窓にもドラえもんをはじめとしたキャラクターが描かれています。さらに、運転席の左側にはドラえもんのぬいぐるみまで乗っています。(写真をクリックし、拡大してご覧下さい)
これは、2012年9月8日から走りはじめた"ドラえもんトラム"です。「トラム」は英語で、路面電車の意味です。
高岡市は、ドラえもんの作者である藤子・F・不二雄氏が生まれた土地で、少年時代までを過ごしているそうです。その縁があって、「ドラえもん」生誕100年前となる2012年9月3日を記念して登場したのが、この"ドラえもんトラム"ということです。
車体の外観はもちろん、車内も「ドラえもん」一色です。外観同様に青い塗装となっていて、天井にはタケコプターで飛ぶドラえもん達が描かれているほか、「ドラえもん」のひみつ道具などもそこここに描かれています。それだけに人気が高く、当初1年間の運行予定だったのを、北陸新幹線が開業して約半年後となる予定の2015年8月末まで運転を延長することが決まりました。
運行時刻が固定されているわけではありませんが、数日分は万葉線ホームページで知ることができます。
この"ドラえもんトラム"に使っているスマートな車両は、"アイトラム"と呼ばれるMLRV1000形です。真っ赤な塗装で2004年に登場した、バリアフリー対応の100%低床車です。6両が在籍し、従来型の7070形5両とともに活躍していますが、7070形で冷房化されているのは2両だけなので、夏場は特に"アイトラム"の運行比率が高まるようです。
左の写真は、途中の新吉久電停で撮影したものです。左側が標準塗装の"アイトラム"で、右が"ドラえもんトラム"ということはひと目で分かりますよね? ところで、その電停はどこでしょう? よく見ると、電車が止まっているところの道路面には色がついています。ここが乗降場というわけです。道路が狭いので、安全地帯を設けることができないのですね。そのため、乗客は道路端で電車を待つことになります。その場所の案内が、左上にある「注意 電車のりば」の場所です。ちょうど、男性がこの待ちあわせ場所から電停に停車している"アイトラム"に向かって歩いています。
このような素朴な電停は、数が減ったとはいえいまも方々で見ることができます。車には十分注意する必要がありますが、路面電車の原点を思い起こさせるようで、ちょっと気持ちが和む光景ではないでしょうか?
万葉線には、もう1両特徴のある電車がいます。それが右の写真の"動物電車"です。正面は猫のイラストで、側面には楽しそうに楽器を奏でる十二支が描かれています。こちらも"ドラえもんトラム"と同じく、車内も楽しくなっています。なお、"動物電車"の運転時刻は公表されていません。比較的多くの日に走っているようですが、検査で走らない日もあるので、そんな日に訪問したら不運と思うしかないようです。ところで、万葉線の終点となる越の潟からは、県営渡船という名のフェリーが日中でも30分に1本、対岸の堀岡まで運行されています。もともと万葉線が富山市内まで射水線の線名でつながっていたところを、富山新港を造るために掘削して海にしました。その代替交通機関のため、県営となっていて無料で乗船できます。一方、上空には新湊大橋が2012年に完成、その道路の直下に歩道があり、2013年6月16日に一足遅れて供用開始となりました。両端の陸地部分にはエレベーターが設置されていますので、気軽に歩くことができるようです。
もともと、この新湊大橋の歩道が完成したら、県営渡船は廃止される予定だったのですが、地元の反対などがあって廃止は延期となっています。つまり、往復で船と橋を使い分けられるのです。それも無料です。万葉線まで行ったら、終点の越の潟まで行って、対岸まで船と徒歩で往復してきたいところです。天気が良ければ、富山新港の先に立山連峰がきれいに見られるはずですよ。
掲載日:2013年06月21日
これは、2012年9月8日から走りはじめた"ドラえもんトラム"です。「トラム」は英語で、路面電車の意味です。
高岡市は、ドラえもんの作者である藤子・F・不二雄氏が生まれた土地で、少年時代までを過ごしているそうです。その縁があって、「ドラえもん」生誕100年前となる2012年9月3日を記念して登場したのが、この"ドラえもんトラム"ということです。
車体の外観はもちろん、車内も「ドラえもん」一色です。外観同様に青い塗装となっていて、天井にはタケコプターで飛ぶドラえもん達が描かれているほか、「ドラえもん」のひみつ道具などもそこここに描かれています。それだけに人気が高く、当初1年間の運行予定だったのを、北陸新幹線が開業して約半年後となる予定の2015年8月末まで運転を延長することが決まりました。
運行時刻が固定されているわけではありませんが、数日分は万葉線ホームページで知ることができます。
この"ドラえもんトラム"に使っているスマートな車両は、"アイトラム"と呼ばれるMLRV1000形です。真っ赤な塗装で2004年に登場した、バリアフリー対応の100%低床車です。6両が在籍し、従来型の7070形5両とともに活躍していますが、7070形で冷房化されているのは2両だけなので、夏場は特に"アイトラム"の運行比率が高まるようです。
左の写真は、途中の新吉久電停で撮影したものです。左側が標準塗装の"アイトラム"で、右が"ドラえもんトラム"ということはひと目で分かりますよね? ところで、その電停はどこでしょう? よく見ると、電車が止まっているところの道路面には色がついています。ここが乗降場というわけです。道路が狭いので、安全地帯を設けることができないのですね。そのため、乗客は道路端で電車を待つことになります。その場所の案内が、左上にある「注意 電車のりば」の場所です。ちょうど、男性がこの待ちあわせ場所から電停に停車している"アイトラム"に向かって歩いています。
このような素朴な電停は、数が減ったとはいえいまも方々で見ることができます。車には十分注意する必要がありますが、路面電車の原点を思い起こさせるようで、ちょっと気持ちが和む光景ではないでしょうか?
万葉線には、もう1両特徴のある電車がいます。それが右の写真の"動物電車"です。正面は猫のイラストで、側面には楽しそうに楽器を奏でる十二支が描かれています。こちらも"ドラえもんトラム"と同じく、車内も楽しくなっています。なお、"動物電車"の運転時刻は公表されていません。比較的多くの日に走っているようですが、検査で走らない日もあるので、そんな日に訪問したら不運と思うしかないようです。ところで、万葉線の終点となる越の潟からは、県営渡船という名のフェリーが日中でも30分に1本、対岸の堀岡まで運行されています。もともと万葉線が富山市内まで射水線の線名でつながっていたところを、富山新港を造るために掘削して海にしました。その代替交通機関のため、県営となっていて無料で乗船できます。一方、上空には新湊大橋が2012年に完成、その道路の直下に歩道があり、2013年6月16日に一足遅れて供用開始となりました。両端の陸地部分にはエレベーターが設置されていますので、気軽に歩くことができるようです。
もともと、この新湊大橋の歩道が完成したら、県営渡船は廃止される予定だったのですが、地元の反対などがあって廃止は延期となっています。つまり、往復で船と橋を使い分けられるのです。それも無料です。万葉線まで行ったら、終点の越の潟まで行って、対岸まで船と徒歩で往復してきたいところです。天気が良ければ、富山新港の先に立山連峰がきれいに見られるはずですよ。
掲載日:2013年06月21日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
青い車体に赤い帯が特徴。
車内外にドラえもん関係のキャラクターが描かれている