日本旅行 トップ > JR・新幹線+宿泊 > 鉄道の旅 > 汽車旅ひろば > ひろやすの汽車旅コラム 「列車と一緒に鉄橋を散歩!? 赤川仮橋」

[ ここから本文です ]

汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

列車と一緒に鉄橋を散歩!? 赤川仮橋 [No.H031]

イメージ
クリックして拡大
人々が行き交う"赤川仮橋"と併走する貨物列車
城東貨物線なので、いまは貨物列車が走るだけ
おおさか東線が整備されると、電車が走るようになる
鉄橋といえば列車が走る橋のことで、人は外から眺めるものですよね。
ところが、列車が走る鉄橋のなかに歩道が併設され、線路を横目に歩くことができる橋があります。それも、大阪市北部を流れる淀川に架かる、約600mもの長い鉄橋です。右の写真がその様子です。線路と歩道がみごとに同居していますよね。
この鉄橋は城東貨物線という貨物列車用の線路として1929(昭和4)年に架けられたものだそうです。架橋後84年も経つ、歴史ある鉄橋なんですね。その建設当初から複線用に造られたものの、実際には単線なので、余っている単線分を建設当初から大阪市が道路として利用してきたようです。鉄道としては「城東貨物線淀川橋梁」という名称になりますが、自治体側からは「一般府道旭西淀川自転車道線 赤川仮橋」となります。大阪市のサイトにも、赤川仮橋(あかがわかりばし)として紹介されています。

イメージ
クリックして拡大
歩行者と自転車だけが渡ることができる赤川仮橋
橋のたもとには、今秋閉鎖の案内看板が…
迂回路案内として、約900m上流の橋が描かれている
付近の方が多く利用されている橋で、距離が長いだけに自転車を利用される方が多いのですが、ウォーキングやジョギングをされている方もよく見かけます。
ところが…なんと、今年の秋にこの赤川仮橋は閉鎖されるのだそうです。左の写真が、赤川仮橋の南端に設置された閉鎖案内です。理由は、「おおさか東線」整備のため。
「おおさか東線」は、関西本線の久宝寺駅から片町線(学研都市線)の放出駅までの9.2kmを南北に結んでいる路線です。2008(平成20)年に旅客営業を開始しましたが、同線はさらに新大阪駅までの11.1kmを延伸する計画で、いまその工事が進んでいるのです。つまり、複線分で設計されながら、84年ものあいだ単線分しか使われていなかった淀川橋梁が、ようやく複線分を使うことになり、いよいよその工事が始まるわけです。
赤川仮橋が閉鎖になったあとは、約900m上流に架かる菅原城北大橋という道路橋を使用するよう案内されています。つまり、代替の歩道・自転車道は建設されないようです。このため、併用橋を経験するならあと半年間ということになります。

イメージ
クリックして拡大
淀川の上流右岸からながめた城東貨物線淀川橋梁
手すりから赤川仮橋が同居していることがわかる
背後には、大阪キタの高層ビル群が見られる
淀川の右岸からこの淀川橋梁をみると、右の写真のように大阪キタの高層ビル群が背後に見られます。この写真にも、歩いて渡っている人が写っていますね。アクセスは阪急京都線淡路駅からが約1kmと便利ですが、道路が入り組んでいて判りにくいので、地図を片手に歩かれることをお勧めします。橋の南側からは、線路に沿って歩くと500mちょっとで大きな通りに出ます。そこで左手をみると、赤川三丁目のバス停が見えます。ここからは大阪駅まで5-8分ごとに大阪市営バスがでていますので、便利です。乗車時間は20分ですが、15分走ったところで地下鉄御堂筋線の中津駅も通ります。
いよいよ外出したくなる季節になってきました。ふらりと"鉄橋を歩く旅"に出かけてみませんか?


掲載日:2013年03月29日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。