- 2018年07月27日(金)掲載
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- 2018年07月20日(金)掲載
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- 2018年07月13日(金)掲載
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- 2018年07月06日(金)掲載
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- 2018年06月22日(金)掲載
- [No.H290] 鉄道の父「井上勝」像でつながる山陰本線萩駅と東京駅
- 2018年06月15日(金)掲載
- [No.H289] 鉄道の父「井上勝」像がある、山陰本線萩駅
- 2018年06月08日(金)掲載
- [No.H288] 大阪市営地下鉄は、民営化して Osaka Metro に
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
タブレット交換が見られる由利高原鉄道 [No.H022]
秋田県にある由利高原鉄道は、もと国鉄矢島線の第三セクター鉄道です。
秋田駅から羽越本線で42.8kmの距離にある由利本荘駅から分岐して、矢島駅までの23.0kmの路線で、所要40分のローカル線です。
その立地から予想できる通り積雪地帯で、昨年訪問したのは3月中旬でしたが、矢島寄りの沿線にはまだ写真のように雪が残っていました。
ここの車両には「おばこ号」という愛称が付けられています。秋田美人で知られる秋田の娘さんの意味です。
そのなかに一両だけ「宇宙戦艦ヤマト号」があります。2011年5月から3年間運行しているラッピング車両で、著作権を有する東北新社の最高顧問である植村伴次郎氏が由利本荘市出身という縁で走っているのだそうです。
車体のラッピングはもちろんのこと、車内も「宇宙戦艦ヤマト」の場面やキャラクターなどが飾られている楽しいものです。
同線の中ほどには、列車の交換ができる前郷(まえごう)駅があります。
ここでは、いまでは珍しくなったタブレット交換…正確には、タブレットとスタフの交換が見られます。
車両基地のある矢島駅と前郷駅にはタブレット閉塞機があり、列車の運転前に両駅で連絡をとりあって、出発駅側がタブレットと呼ばれる“玉”をタブレット閉塞機から取り出します。この“玉”をテニスラケットのような形状をしているタブレットキャリアの握り手部分にいれて、列車の運転士に渡します。このタブレットを受け取って、はじめて矢島〜前郷を走ることができます。
このように、特定区間に1列車だけが走ることができるようにすることを“閉塞”と呼び、鉄道が安全運行するための基本となっています。
矢島〜前郷のタブレット閉塞に対して、前郷〜羽後本荘はスタフ閉塞です。
こちらは、スタフを渡すのが前郷駅だけです。つまり、前郷駅から羽後本荘駅に向かう列車が、そのスタフをもって前郷駅に戻ってくるまで、他の列車は同区間を走ることができません。スタフの代用品はないので、1閉塞内に1列車しか走ることができず、これまた安全に運行できるわけです。
添付の画像は、そのタブレットとスタフを前郷駅で交換する光景です。
赤旗を持っている駅員さんの右手には、卓球のラケットくらいの大きさのものがあります。これがスタフで
いま、運転士さんから受け取るところです。その駅員さんの左手にはテニスラケットくらいの大きさのものがあります。こちらがタブレットで、これから運転士さんに渡すところです。
由利高原鉄道の春田社長は、公募で選ばれた鉄道好きな方です。それだけに、このタブレット交換の風景はぜひ残していきたいと仰っていました。
ちなみに、いま国内の旅客鉄道でタブレット交換が見られるのは、
・由利高原鉄道
・津軽鉄道
・くま川鉄道
の3社だけということです。
由利高原鉄道の終点で車両基地のある矢島は、城下町として発展した町で、その町巡りを楽しむ観光地として売り出しています。毎年3月には雛巡りが行われています。街中に残る豪華な雛人形を家々に飾り、街歩きの人に楽しんでもらおうというイベントです。
それに先立つ2月中旬には、矢島にある天寿酒造と佐藤酒造による年に一度の酒蔵開放があります。今年は2月16日(土)で、この日は、羽後本荘発9:46の臨時列車と同10:47発定期列車に乗車すると、なんと運賃が無料! 帰路は、矢島発14:50と15:50が無料となります。
こんな、酒蔵開きに運賃無料の列車が走るのは、由利高原鉄道だけです。
乗って楽しい鉄道で、見て呑んで楽しめる矢島を訪れる旅に、あなたも行ってみませんか?
掲載日:2013年01月25日
秋田駅から羽越本線で42.8kmの距離にある由利本荘駅から分岐して、矢島駅までの23.0kmの路線で、所要40分のローカル線です。
その立地から予想できる通り積雪地帯で、昨年訪問したのは3月中旬でしたが、矢島寄りの沿線にはまだ写真のように雪が残っていました。
ここの車両には「おばこ号」という愛称が付けられています。秋田美人で知られる秋田の娘さんの意味です。
そのなかに一両だけ「宇宙戦艦ヤマト号」があります。2011年5月から3年間運行しているラッピング車両で、著作権を有する東北新社の最高顧問である植村伴次郎氏が由利本荘市出身という縁で走っているのだそうです。
車体のラッピングはもちろんのこと、車内も「宇宙戦艦ヤマト」の場面やキャラクターなどが飾られている楽しいものです。
同線の中ほどには、列車の交換ができる前郷(まえごう)駅があります。
ここでは、いまでは珍しくなったタブレット交換…正確には、タブレットとスタフの交換が見られます。
車両基地のある矢島駅と前郷駅にはタブレット閉塞機があり、列車の運転前に両駅で連絡をとりあって、出発駅側がタブレットと呼ばれる“玉”をタブレット閉塞機から取り出します。この“玉”をテニスラケットのような形状をしているタブレットキャリアの握り手部分にいれて、列車の運転士に渡します。このタブレットを受け取って、はじめて矢島〜前郷を走ることができます。
このように、特定区間に1列車だけが走ることができるようにすることを“閉塞”と呼び、鉄道が安全運行するための基本となっています。
矢島〜前郷のタブレット閉塞に対して、前郷〜羽後本荘はスタフ閉塞です。
こちらは、スタフを渡すのが前郷駅だけです。つまり、前郷駅から羽後本荘駅に向かう列車が、そのスタフをもって前郷駅に戻ってくるまで、他の列車は同区間を走ることができません。スタフの代用品はないので、1閉塞内に1列車しか走ることができず、これまた安全に運行できるわけです。
添付の画像は、そのタブレットとスタフを前郷駅で交換する光景です。
赤旗を持っている駅員さんの右手には、卓球のラケットくらいの大きさのものがあります。これがスタフで
いま、運転士さんから受け取るところです。その駅員さんの左手にはテニスラケットくらいの大きさのものがあります。こちらがタブレットで、これから運転士さんに渡すところです。
由利高原鉄道の春田社長は、公募で選ばれた鉄道好きな方です。それだけに、このタブレット交換の風景はぜひ残していきたいと仰っていました。
ちなみに、いま国内の旅客鉄道でタブレット交換が見られるのは、
・由利高原鉄道
・津軽鉄道
・くま川鉄道
の3社だけということです。
由利高原鉄道の終点で車両基地のある矢島は、城下町として発展した町で、その町巡りを楽しむ観光地として売り出しています。毎年3月には雛巡りが行われています。街中に残る豪華な雛人形を家々に飾り、街歩きの人に楽しんでもらおうというイベントです。
それに先立つ2月中旬には、矢島にある天寿酒造と佐藤酒造による年に一度の酒蔵開放があります。今年は2月16日(土)で、この日は、羽後本荘発9:46の臨時列車と同10:47発定期列車に乗車すると、なんと運賃が無料! 帰路は、矢島発14:50と15:50が無料となります。
こんな、酒蔵開きに運賃無料の列車が走るのは、由利高原鉄道だけです。
乗って楽しい鉄道で、見て呑んで楽しめる矢島を訪れる旅に、あなたも行ってみませんか?
掲載日:2013年01月25日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
2011年5月から3年間運行している。
車体側面にキャラクターが描かれ、車内にも…